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E-girlsはSPEEDを超えるか アイドル×ヒップホップダンスの可能性

作品を出すたびに芸能ニュースサイトを賑わせるAKBグループやももいろクローバーZ、モーニング娘。などの女性グループたち。その中でも高い歌唱力と本格的なダンス・パフォーマンスで魅了する女性グループ、E-girlsがめきめきと台頭している。E-girlsは、Dream/Happiness/Flowerという3つのグループに9人のパフォーマーを加えた総勢29名の大所帯。EXILEのHIROが社長を務めるLDHに所属し、女性版EXILEと呼ばれるなど、EXILEの妹分としても知られている。

 彼女たちが11月20日にリリースした最新シングル『クルクル』は、前作『ごめんなさいのKissing You』に続き、オリコン週間チャートで初登場2位を獲得。同作発売前には2014年の夏に初の全国ツアーを行うことも発表された。しかも、初のツアーがいきなりアリーナ・ツアーという人気ぶりで、アリーナ・クラスというのは、1998年のSPEED以来という快挙だ。

 そのSPEEDは、ヒップホップやR&Bのエッセンスを楽曲とダンスに巧みに取り入れ大成したグループだったが、冒頭に挙げた女性アイドル・グループとE-girlsの違いのひとつもそこにあるように思う。E-girlsの基本路線はJPOPだが、楽曲や打ち出し方にブラック・ミュージックのエッセンスがチラチラ見え隠れするのがポイントだ。

 たとえば、クラブ・カルチャーをバックボーンに持つEXILEのMAKIDAIがDJ MAKIDAI名義でリリースしたミックスCD『Treasure MIX 3』に収められた90年代のクラブ・ヒット曲、アラウンド・ザ・ウェイの「Really Into You」のカバーにフィーチャリングされていたのはHappinessだった。数多くの海外著名ラッパー/シンガーと共演経験を持つ日本人プロデューサー/トラック・メイカーのDJ DECKSTREAMが今夏発表したメジャー・デビュー・アルバム『DECKSTREAM.JP』にはFlowerの鷲尾伶菜が参加。収録曲「あの日のさよなら」で透明感あふれる歌声を響かせてくれた。今年4月にリリースされ、チャート初登場1位を記録したE-girlsのファースト・アルバム『Lesson 1』には、ソウルオリエンテッドなミドル・ナンバー「love letter (Album special Version)」や「好きですか?」を収録。三浦大知やAIなどに楽曲を提供するプロデューサー、UTAが手掛けた「ただいま! (Album special Version)」も切なくて爽やかな横揺れグルーヴがたまらないナンバーだった。

 先日放送された「2013 FNS歌謡祭」にE-girlsが出演した際は、他の女性アイドル・グループとは異なりスニーカーでパフォーマンスを披露。ヒップホップ系のダンスシューズと言えばスニーカーだし、フェミニンな衣装と多少アンバランスでも足下はキレのあるダンスをするための道具を選ぶ。その姿勢には彼女たちのこだわりとルーツが感じられた。

過去にもヒップホップを音楽性に取り入れた邦楽の女性グループは星の数ほど存在した。そうしたグループの源流と言えるのは、今年デビュー20周年を迎えたアメリカを代表する女性グループのTLCだろう。歌える子とラップができる子とダンスができるかわいい子。TLCが実現させたこの黄金トライアングルは、後の女性グループのメンバー構成や音楽性に多大なる影響を及ぼした。SPEEDは4人組だが、あり方の手本は間違いなくTLC。時計の針をグンと進めて2000年代のそういうグループを考えると、クラブ・カルチャーに根付いた活動を展開したYA-KYIMがTLCを雛形にしたメンバー構成だった。
 
 他には、露出の高い衣装でセクシーさとゴージャス感を売りにしたFoxximisQ、卓抜なダンススキルとゴスペル仕込みの圧倒的なコーラスワークを武器にしたBRIGHT、10代限定フェス『閃光ライオット』から飛び出し、原色系のポップさと若さでアピールしたDOMINOなどが思い出される。しかし、彼女たちはいずれも惜しまれながら解散。ヒップホップやブラック・カルチャーの匂いが強すぎるとコアに思われ、キャッチーな音楽性を求めるとイミテーションっぽく映ってしまうのか。歌とラップとダンスを組み合わせれば売れるのかというと、それはまた別の話で、特に日本ではヒップホップとポップのバランスが肝というか、そうしたグループの成功を紐解くカギがなかなか見つからない状態だった。

 そうして閉塞状態にあった女性グループのシーンに風穴を開けたのが、少女時代に代表されるK-POPの大人数グループだった。高い歌唱力と優れたダンス能力を持ち合わせ、音楽性はブラック・ミュージックの強い影響下にありながら、きれいどころを多数並べることでキャッチーさを強調。ヒップホップのエッセンスを華やかな雰囲気でくるむことで、イマドキのポップスに巧妙に昇華してみせたのだ。

 E-girlsのDNAにはそうしたガールズ・グループの傾向が組み込まれている。Dream/Happiness/Flowerの3グループともそれぞれ単体ではヒップホップやR&B寄りの音楽性を展開しながら、E-girlsという大所帯ではその素養から出汁を取って旨味を作り出し、それをチラ見せすることで他の女性グループとはひと味違う魅力を発揮し、聴き手を引き込んでみせる。
 
 料理の決め手は隠し味。濃厚な味こそ、うまく使えばアクセントになり、料理の風味を引き立てる。E-girlsにとってブラック・ミュージックの要素はあくまで隠し味、出汁の素。隠し味や出汁が効いたE-girlsの料理は、そんな食文化の象徴である和食で育った日本人にきっと長く愛されることだろう。

■猪又 孝
音楽ライター、ときどき編集者。日本のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆しつつ、カワイイ&カッコイイ女の子もダイスキ。音楽サイトMUSICSHELFで「猪又孝のvoice and beats」を連載中。12月に発刊された三浦大地のアーティストブック『SHOW TIME!!』ではメインライターを担当。

元記事 : Real Sound 配信日時 : 2013-12-16