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YouTube、アーティストに対してここ数年間で1000億円を超える金額を支払う

2月に入ってからYouTubeはここ数年間で総額10億ドル(約1020億円)を超える支払を音楽著作権に対して行ってきたことを明らかにしているが、一部のアーティストにとってはYouTubeからの収入が右肩上がりになっているのは常識になっていると『ローリング・ストーン』誌が伝えている。

CDのセールスはここ10年以上減少を続けていて、ダウンロード・セールスもここにきて業績が横ばいになり始めている今、広告を潤沢に使って動画再生を現金化しているYouTubeの手法は音楽業界では重要な収入源になりつつあるというが、ウィルコ、ボブ・モウルド、ライアン・アダムスらの代理人を務める弁護士のジョシュ・グリアは次のように語っている。

「YouTubeからの収入はどんどん増えています。会計上のあらゆる期間についてYouTubeからの収入は増加を示しているんです。わたしが数年前にYouTubeとの取り決めをまとめ、YouTubeの土俵にあえて入ってみたアーティストはみんな今稼ぎを手にしていますよ」

グリアの手がけるクライアントは大半が作曲と版権管理から収入を得るタイプのアーティストになるというが、グリアは90年代と現状を比較して次のように説明している。

「たとえば、なにをしなくても儲かってしようがなかった90年代のように、音楽業界がクレイジーなまでに盛り上がることはぼくが生きている間はもうないんだろうなと思いますが、だけど、ストリーミングが音楽を一般に伝える主要な方法になることができたら、いろんな意味でミュージシャンたちに恩恵をもたらすことができるという手応えは確実にあるんですよ」

ただ、音楽業界側にはまだYouTubeを収入減として当てにできないとして、しばらく様子を見る必要があると見る向きもまだ強い。たとえば、アーティストのパフォーマンス動画については再生される度に印税が発生するが、カヴァーについての著作権印税は再生回数がある程度伸びて広告動画と組み合わせるメリットが生まれた時点で初めて印税が回収されるようになるという。様々なロック・アーティストのビジネス・マネジメント担当しているジェイミー・チークは「ほとんどのアーティストにとってその額は充分なものではないんです。印税を請求するには手続きがかなり煩雑で、結局、請求にかかるコストを考えると割が合わなくなってしまうんですよ」と問題点を指摘している。

しかし、レコード産業の関係者の多くも、収入の主軸がダウンロードからストリーミングへと完全に移行した場合にはそれも根本的に変わって来るだろうと見ているという。インタースコープ・レコードのジミー・アイオヴィンとドクター・ドレーのビーツ・エレクトロニクスは先頃、プレイリストを提供する新しいストリーミング・サービスのビーツ・ミュージックを立ち上げているが、YouTubeでも音楽ストリーミング・サービスの立ち上げを今年中にも検討しているという。YouTubeの副社長トム・ピケットは展望を次のように語っている。
「広告に支えられたこのモデルからは確かに利益が生まれているのです。その収入はアーティストに流れているんですよ」

元記事 : RO69 配信日時 : 2014-02-06