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2013年のベストiPadゲーム「GO DANCE」日本発、155カ国で海外展開も

アップルが発表した「BEST OF 2013」。iTunes StoreやApp Storeに登録されたコンテンツのうち、特に優れたものを「ミュージック」「映画」「App Store」「ブック」「Podcast」という6つのジャンルの中から「スタッフのおすすめ」として紹介されている。

セガネットワークス 執行役員 事業本部長の岩城農氏
セガネットワークス 執行役員 事業本部長の岩城農氏
 「映画」の場合「大ヒット映画」「演技作品」「監督作品」「アニメーション」。「ブック」であれば、「ブック」「マンガ」「ビジネスブック」「インタラクティブブック」といったようにカテゴリに分けられて表彰されている。評価の基準は定かではないが、それはさながら“アカデミー賞”のように、コンテンツ全体だけでなく、ジャンル、内容、取り組みといったさまざまな視点で評価されているようだ。

 BEST OF 2013のApp Store(今年のベスト iPadゲーム)で表彰されたアプリはセガの「GO DANCE」で、特別な周辺機器なしに、iPad本体だけで遊べるダンスアプリだ。セガネットワークス 執行役員 事業本部長の岩城農氏に話を聞いた。

GO DANCEのコンセプトを教えてください。
「BEST OF 2013」
「BEST OF 2013」
 GO DANCEは、難しい操作を必要とせずに、リズムに合わせて踊るだけという手軽さが特徴のタイトルです。といっても、よく見かけるような“ダンスゲーム”ではありません。イメージしているのは、パーティなどに持ち込み、その場をダンス会場にするといった使い方です。

 持ち込み先を選ばないというのもポイントで、いわゆる得点を競うような動きの“厳密さ”といったものはありません。ゲームとしてプレイするのは1人ですが、そのバックで一緒に踊る人が何人いても大丈夫なのです。本体タイトルの立ち上げにあたり、いろいろな場所でイベントを行ったのですが、1人がプレイしていると10人、20人が一緒に踊り出すといったこともありました。

 ダンスアプリとしてとにかく高得点を狙うといったものではなく、年齢、性別を選ばず、そして場所を選ばずに遊べて踊れる。そんなアプリです。

「年齢、性別、場所を選ばずに遊べて踊れる」とのコンセプトですが、実際のところ、iPadやiPhoneのカメラでどの程度対応できるのでしょうか。

iPhoneやiPadでもプレイ可能。ただし、画面が小さいと感じる場合は、ケーブル接続かAirPlayによるミラーリングプレイがおすすめという
iPhoneやiPadでもプレイ可能。ただし、画面が小さいと感じる場合は、ケーブル接続かAirPlayによるミラーリングプレイがおすすめという
 GO DANCEには、イスラエルのXTRが開発・提供しているモーションキャプチャ(2Dカメラを利用した3Dモーションキャプチャー・テクノロジ)を採用しています。特徴は上半身の9箇所(骨格)を解析することで、リアルタイムに動きを捉えることができるという点です。また、1秒間に13~15回の計測を可能としており、結果として踊っている人の後ろに人が通っても影響はありません。

 また、屋内の低照度環境などでもしっかりと認識できますし、100cm以下のお子様も認識できます。iPadあるいはiPhoneの設置場所についても、角度が適切なら極端な話、床に置いても問題ありません。そういった意味では、まさにどこでも誰でも遊べるようになっているといえます。

 iOSデバイスに搭載されたFaceTimeカメラの性能については、必要十分以上であり、高性能ですので、満足していただけると思います。

ユニバーサルアプリとしてiPadとiPhoneに両対応しているわけですが、iPhoneの画面では小さいという声もあるようです。

 iPadを前提としているわけではなく、もちろんiPhoneでも利用していただけるアプリですので、画面サイズに関する不自由さについては課題として承知しています。ただ、まずはアプリを理解していただくという意味で、iPadや「Apple TV」のミラーリングプレイを利用した遊び方を提案させていただいています。

誰でも簡単に踊れるというGO DANCEですが、やはり初心者には難しく感じます。

 国内外の何箇所かでイベントを行ったのですが、“ノリ”に違いがありました。外国の方は踊れている、いないに関係なく足を使って踊りますが、弊社内を含め日本でプレイすると“上半身だけ”で踊ろうとする人が多くいました。

 実のところ、GO DANCEは上半身9箇所を1秒間に13~15回計測しており、ダンスとしての正解も3~9パターン用意しています。つまり、画面に表示された指示とズレていたとしても、それが必ずしも失敗ということにはなりません。

 ですから、苦手だからといって無理に合わせる(上半身だけで踊る)のではなく、体全体を使って楽しんでいただく、最後まで踊りきっていただくことが重要です。そうしていくうちに踊りに慣れていったり、得意になったりしていくと思います。

 ちなみに、表示されるダンスはエイベックスと協力し、複数の振り付け師の方を手配していただき、曲に合わせて踊りやすい振り付けに仕上げてあります。

配信国が日本だけではなく、米国、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、オーストラリア、メキシコと、計10カ国もあります。スタートのタイミングでこれだけの国に配信するのは、ゲームアプリとしては珍しいと思うのですが。

今年のベスト iPadゲームを獲得
今年のベスト iPadゲームを獲得
 実は、2014年初頭に155カ国(配信済み国含む)で配信することになっています。誰でもすぐに遊べるというのがGO DANCEの魅力でもありますから、いろいろな国で遊んでもらいたいという気持ちです。選曲に関しても、いわゆるヒット曲・トレンド曲を中心に収録していますので、配信国が増えても楽しんでいただけると思います。

GO DANCEの配信時にはフリーで遊べるのが2曲しかありませんでした。その後のアップデートで初期搭載曲が一新され、また有料の追加楽曲も増えています。どのような基準で選んでいるのでしょうか?

 選曲に関しては、とにかく“明るく”て“ノリ”やすい曲、またトレンドを重要視しています。具体的には、ここ5年間ぐらいでビルボードの上位、流行った曲を中心に選曲しており、交渉を行っています。追加楽曲については、許可が下り次第対応させているという状況です。その中で、アプリとして一貫性のある選曲というものをビジネスチーム・開発チームで意識しています。

 初期搭載曲については、2曲では少ないという意見をいただきまして、それであればノンライセンス曲の中でも踊りやすい曲を入れてみようではないかと、“チャレンジ”としてアップデート時に追加させていただきました。今後も、ライセンス曲を含め、弊社が所有している使えるアセットを提供できればと思っています。

現在のところ、日本のアーティストとして唯一選ばれているのは「MAN WITH A MISSION」だけですが、採用にあたりどのような経緯があったのでしょうか。

 MAN WITH A MISSIONとはGO DANCEに協力していただく過程でかなり意欲的な取り組みをしています。GO DANCEはゲームのタイトルとしてだけでなく、如何に音楽とのシナジーを築き上げるのかという点に力を入れています。その取り組みに共感していただけたので、実際に他の収録曲にはない取り組みを実施しています。

 例えば、2013年秋のツアーで「FLY AGAIN」という曲が流れた時には、3面のスクリーンに弊社で作成したアバターが表示され、観客の皆様全員で踊るといった試みです。

2014年にMAN WITH A MISSIONが全米デビューすることと連携しているのでしょうか。

 2014年以降、海外での活動が活発になるということで“プロモーションコード”という形で応援させていただいております。これは、海外でMAN WITH A MISSIONの楽曲を追加購入(アプリ内課金)していただいたユーザーにお渡しするもので、このコードにより、iTunes StoreでMAN WITH A MISSIONの楽曲が無料ダウンロードできるようになります。このことにより、ゲーム外でもMAN WITH A MISSIONを知っていただけるきっかけになる。そして、他のiTunes Storeで配信されている曲にも興味をもっていただく──そんな可能性を広げる取り組みを行っています。

 特にプロモーションコードについては、アップルも絡んだ大きな取り組みのひとつになっています。

今後、ほかに日本のアーティストを採用する予定はあるのでしょうか。

 日本のアーティストという意味では、現在MAN WITH A MISSIONだけですが、特に例外というのを設けてはいません。どちらかというとGO DANCEで踊るということに“色”として合っているかどうかを重要視しています。ただ、今回はMAN WITH A MISSIONが全米でデビューするというのがひとつの大きなきっかけになっているのは事実です。

 今後155カ国にGO DANCEを展開するわけですが、プロモーションコードといった取り組みを含め、アーティストに名前をお借りするだけでなく、きちんと“お返し”させていただく、そういったことを踏まえて調整していきたいと思っています。

元記事 : CNET JAPAN 配信日時 : 2013-12-26 08:00