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DANCE@TALK TAKUYA

DANCE@TALK TAKUYA

TAKUYA × カリスマカンタロー

独自の世界を切り開く二人のダンサーがストリートダンスシーンの現状を紐解く!!

カリスマカンタロー:以下C 現在のダンスシーンはTAKUYAさんからみてどのように見えますか?

TAKUYA:以下T 現在のダンスシーンは競技化したもの、ビジネス化しようと試みるものなど多種多様化して、ある意味で迷宮入りしていると感じます。その前までは、純粋にダンスや音楽、ファッションがカッコイイとかがライフスタイル的なものがメインでしたけど、ダンスのビジネス化と競技化が混同され今みんなどこに進んでいるのか、何がなんだか分からなくなっているのかなと感じます。純粋にダンスしたい人、ダンスでビジネスしたい人、趣味で踊りたい人、全て良いことだと思いますが、ただそのそれぞれを行う人たちの考えが訳解らないまま混同しすぎての混沌状態。例えば極論駅前のダンススクールはビジネスで、サービスをしっかりする所だと思います。で、俺達みたいなダンスが好きなダンサーは自分がやりたいもの、自身がインスピレーションを受けて出すものを主にやっているので良い言い方をすれば、「純粋」、悪い言い方をすれば「自分本位な踊り」をやっているのです。
そういうものとビジネスに特化したダンススクールのようなサービスには距離感が少しあるんですよね。ダンス的にも本来は間逆ですし。それが今は混同されてちゃっているように感じます。
ある程度有名なダンサーはお客さんが来るけど、遅刻したり自分本位だったり、両立できないのも現状で、それはそれでしっかりビジネスされている方にも迷惑かけて、でダンサーは待遇が悪いだの不満は多いし。なんかそういうお互いが噛み合わない話をよく耳にします。なのでああいう場では権威付けされたダンサーよりもしっかり仕事できる人が活躍して欲しいと個人的には思います。勿論両立できている方もいるとは思いますが。
DANCE@LIVEやDANCE DELIGHT等での結果を獲ったりした事での権威は勿論ありますけど、本来はそのまま一般の人達向けのビジネスに混同すべきではないと感じます。そもそも1位2位などの勝利至上主義も大事な側面は勿論感じますが、その上にしっかりとしたジャーナリズムなどが乗って行かないと本当の意味での価値は出ないですし、それと一般向けのダンスビジネスは違うと思います。例えば自分が何かで優勝して、いわゆる駅前のダンススクールでレッスンをするとなった時に、レッスン代が高額になる事とは本来はまた別の話ということです。そういうところが混同していて、みんながこれは何なのかわからくなっているから反比例がいっぱい起きてしまっているんですよね。皆が何を持って仕事をしていくか、ダンスが上手い=偉いとか、お金を稼げるではなく、その技術なり知識をどう使うか、どう貢献していくかを真剣に考えたいです。じゃないと本来のストリートダンスの純粋な側面はどんどん薄くなっていくのでは思います。

C 昔、TAKUYAくんと「ダンス界に批評家とか評論家がいないから出てきたらいいよね」と話したじゃないですか。でも今はまだ出てきていないですよね。

T 出てきてないですね、やっぱり難しいですからね。でもやっぱりなんとかできたらいいと感じます。例えばDANCE@LIVEなんかは一般的な目線で言うとにはめちゃくちゃコアに感じます。JUDGEの仕方だって皆一般の方は分からないと思いますし、究極は全部の意味が分からないんじゃないですかね。それでいて出る人は職業安定に結びつけようとする人もいて、ジャッジは自分の知識と経験で真剣に見て、しかし肝心の一般層には何がなんだか解らない。つまりスポンサーが付きにくくなり…。なのであれぐらいコア(笑)にやるなら批評家がいた方がいいですよね。批評家がいないから変な話、コアになれていないJUDGEもいっぱいいる訳ですよ。
もっとコアな部分を見るJUDGEをコアな批評家が見るということはあっていいと思います。これはビジネス的、コアなダンサー的双方から観てもそう思う。そもそも勝利至上主義過ぎるシーンがもっと昇華していければなとも思いますが。皆がそのジャーナリズムの欠落された「1位」という言葉に反応しすぎで上手くいってない側面も沢山あると思います。今はそんな時代だから解説者から批評されると「ディスられた」と怒る人も出てくると思います。本来それはそれで自己表現なのであった方がいいと思います。「上手い下手」だけの世界にいるから批評される「ディスられる」のがみんな嫌だと思いますが、自分は本来こういった表現の文化はある種のディスも必要なんじゃないかと思いますね。内容にもよりますが。
表現は批判ではなくて批評があり、意味がわからないことがあるのが表現だと思います。バックグランドがあって、技術があって、こういう感情でこういうふうに描いたんだという、それを人がどう思うかという。その上では価値と時代性があるんですね。色んな時代を経てここに行き着いたという事に価値があるんです。
ただそこには価値が無いという人もいっぱいいます。でもそれに価値を感じる人がいて評価と対価をお金で表したりするんじゃないですかね?数字は価値を表す1つのものであって。そういうのがサービス向けじゃないダンサーのお金の創出の仕方の一つだと思います。まあ理想ですが。
なので勝利至上主義すぎる現代はバトルとか負けたらみんな残念がって帰るのですがアレは本来あまりシーン自体の前進は感じられません。勝ち負けは半分はもちろん面白くて、でも半分はどうでも良くて。バトルはやった感覚やお客さんの歓声とかで勝敗を感じることもあるかもしれないですけど、本当の意味での競争はそれだけではないと思います。
勝ち負けではない表現の競争とか、HIPHOP創世のような自分達の地域性を出したものに自分は惹かれます。そういう表現という方のベクトルは日本に限らず全体的に欠けてると思うんです。ただ、芸術だったり自己表現だからお金にはならないのが元々なんですよ。そこは根本として理解していないといけない。そこにどう価値を見出すのか、そこが見えている人達で底上げしていけたらいい形のビジネスモデルもできるのかもしれません。
とにかくいろいろな情報やものが入り交じって情報過多でわからなくなっているのが今のダンスシーンと言えるかもしれません。

C ダンス界ではクリエイターとかアーティストとかアスリート、メジャーとアンダーグラウンド、遊びとビジネスが混沌としているという事ですよね?

T 全方位に興味があるのはとてもいいと思いますが、全部フィールドが違うので、その考え方を分けないとおかしくなると思います。極端な話、ローカルなクラブのパーティーなんかは友達が来るだけなので極端に言うとギャラなんかはいらないと思います。遊びはビジネスではないんです、根源ではあっても。1個1個のローカルイベントにギャラをすごい要求したりとか、それが家計に響く人達や生活がアングラのSHOWCASEとかで成り立っている、もしくは成り立たせようという人が少なからず多いんですよね。これは昔からの90年代の名残だと思うのですが、それは本来違うのかなと。仕事は社会貢献して人の役に立つことで等価価値としてお金をもらう事だと思うんです。
なので現代で今のところすぐに出来るのは所謂駅前のダンスの先生が唯一のサービス業という仕事になるんじゃないですかね。一般的には。ダンサー志望ではないダンスを踊りたいお客さんの為に奉仕して、ちゃんと教えて関係を築いてお金もらう。
ストリートダンスの仕事なのかは正直解りませんが、現状で唯一の確立された仕事ですよね。しかしこの職種とバトルやら芸術思考のダンスは全く違うものです。勿論理解していれば両立は出来ると思いますが。ダンスで食べて行こうと思うなら、お金がどうやって発生するのかとか世の中の流れを勉強して行かないとと思います。

C どっちがダメとかではなくて、ビジネス化したものもそうじゃないものも自分達の良さをちゃんと知って、双方が活躍できたらお互い「ありがとう」という関係にはなると思うんです。視野が狭く自分達がやってる事しか認めない人もいるとは感じることがあります。

T 自分はどちらも本当に良いと思うし、正にお互いがお互いを助力しあうと思っていますね。ただその自分が何をやっているかという事だけ少し理解していきたい。個人的にはどっちかというとアイドル的な人より、自分は職人タイプの人の方が好きなんですが、そういう人はみんな基本自分の為に踊っているんですよ。しかしどこかで「優勝して食べれたらいいな」という夢はみんな多少持ってるんだと思います。それは悪いことじゃないけど、しかも今すでに食べられてる人もいますけど、そこは本来はあくまで自分の為なので「仕事」にはなり辛いと思います。そういうのも批評家とかがどんどん紐を解いて説明して行かないと、やってる本人も分かってないのかもと思いますね。そういう部分がまさに混同してしまっているんですよ。ダンスだけですぐに職業を目指すならしっかりアイドルになったほうが潔いということです。それを「リアル」だのなんだのなるからおかしくなる。でそれに憧れる若者がおかしくなる。本当にダンスでアーティストを目指すならダンスだけの価値でお金を創出するのは40、50歳とかからじゃないですか。それくらい甘い世界じゃないと感じます。純粋にダンサーというアート的な職業を目指すなら。

C 舞台のようなものをやってみたいとかは思いますか?

T 思いますね。以前にも少しやってた時は実験としてやり始めましたけど、やっぱりお客さんを呼ぶという事は甘くないと思います。自分達の知ってる人だけを集めて、ではあまり意味はないですよね。色んな仕組みの元で、知らない人が来るようにできれば。日本はダンス界の仕組みがとにかく混沌としてて、それを紐解いて役割分担していけば、今まで出来なかったこともいろいろ実現していくんじゃないですかね。

C 僕らもダンス界を作る想いで仕事をしていまして、90年代のダンスではなく2000年型のダンスの世界を作って「入りやすい」体制が作られて、トップはスーパースターで、それを目指してみんなが稼ぎたいというような世界を作れたらいいなと思っています。それが目標ですね。僕はアートの方に入り込むという意識よりはメジャーライクです!その全部で色々な意味でダンス界なんだと。そう思った時「誰も未だにダンス界の何1つ成功させてない」と思ったんですよ。プロサッカーとかプロ野球みたいなプロとアマチュアがいる頂点がある三角形を作ればいいのかなと考えてDANCE@LIVEから始めました。そうやって徐々に広めて行きましたけど、自分本位なダンスのみではお客はつきません。そこにはある程度お客を意識したエンタメ要素がダンサーの意識の中にも重要不可欠です。

T 俺らは極端なほうに行っちゃてるからカンタロー達と反対方向に進んでいますね。カンタローのジャマになっちゃうかもしれないけれど、ある種目立たないでやるシーンが出来ていくとその方が経済も回るとも思ってる。みんながみんな意味解らずプロダンサーを目指してるとこのシーンからどんどんお金がなくなってしまうとも思います。俺の周りはダンスで食っていこうと思っている人がいるにはいるけど、それほど多くはなくて、みんな働きながらダンスを楽しんでいます。だからといって皆プロになる子より情熱がないかといったら間逆で、皆ダンスも音も大好きで、純粋にダンスを楽しみ続けられている。
そういう子達は変な話お金も他で稼いでいるから将来的にもっと経済も回って行くとは思います。でもそれが俺の狙いじゃなくて、その方がみんなにとって幸せだなと単純に思うんです。俺らはたまたまこういう位置に来て、みんなの先導する役目になってるけど、そういう純粋なダンスが好きな自分達がまだプロ論がないダンサープロを目指す人だけを増やして、しかもそれをビジネスにするのはどうかと思ったんですね。それよりもみんなが仕事しながらダンスをやれるシーンも確立したり見るのが好き、ただ踊るのが好きという人を増やすとかの方が絶対に純粋なダンスシーンの経済的には回ると思います。安易にプロを目指す人口を増やすとお金は親頼み、その先は誰か頼みになるから子供のうちしかダンスを続けるのが無理になる。そうでないなら大人になってからはお金もないのにクラブ行って酒も飲まずに踊りまくって、またプロ予備生みたいの生徒にして、、負の連鎖。
で先生ばかり増え続けてイントラ職業の奪い合いでスクールばっか増えて負の連鎖が起きている。皆プロ目指させるの辞めません!て、これは問題になるかもしれないけど…。

C 僕は問題にならないと思います!そういう考えを聞くと教えて行かなきゃダメじゃないかと思いましたね。俺と間逆じゃないですか?学びましたよ!(笑)確かに全員が全員プロ目指してレッスンしてたらキツイですね。とは言えプロを広げて行くことも必要だと思います。そうすることで成り立つとこともあります。この人のダンスが見たいという人が アイドル的要素はあると思うんですよやっぱり。例えばマイケル。アーティスティックなアイドルじゃないですか。僕はそういうダンサーが出てきてもいいんじゃないかなと思います。今回始めたDANCE@HERO JAPANでも、そういうようなチームが出来ればいいと思います。そういうチームをみんなで作るというのが、今の時代のキーワードだと思ってます。
世界中の人が全員でこの人を応援しようとなれば、仮にそのダンサー1人を1万人の人が応援してくれて1000円出してくれたら1000万円集まります。そういう考えでみんなでヒーローを作っていこうと考えてるのがDANCE@HERO JAPANなんです。それをいろんな国でやればダンスの人口の母数が一気に増えるし、そうすれば好みが違うのでいろいろなチームにファンが付くようになる。例えば10チームいて1チームはズバ抜けてるけど他の9チームも人気になる。そうすれば将来的には何百人という三角形の頂点ダンサーが食べていけるようになるとは思います。その人がでる舞台やイベントやバトルをみんなが見に来たり、その人のファンのグッツが売れたり、ワークショップツアーを公民館とかで1000人くらいでやったりする。それをワールドツアーでやるみたいなことがアイドル的な要素になってしまうけどダンスをプロとして職業にする。
僕はそっちのほうを作れたらいいなと思っています。そういった意味で、僕はダンス界ではメジャーな方だと思うんですけど、それでも僕なりストリートダンスの本質のカッコ良さをわかりやすくすれば一般の人は喜んでくれるんじゃないかなと思っていました。でも単純にスキルがすごくても一般の人にすごいと伝わってもファンまでになることはないし、ダンサーもそれを望んでいるようで望んでいない、そこに気付きました。なので僕が考えてるダンスファン的な人たちは今のDANCE@LIVEではある種出来なかったんです。でも今後今のキッズの子達には可能性を感じてますね!スターが出るのはあと数年後でしょう。もしこの 先、DANCE@HERO JAPAN等で人気になったメジャーなダンスのアーティストが出てきてその子達はDANCE@LIVEのバトルでも闘う。
そうなればそこにピークが来ると僕は思っています。これからのキッズに期待したいのは、ファンがつくようなダンサーがDANCE@LIVEではコアな部分でもFINALまで勝ち残れて世界でも認められるような世界が出来たらいいなと思っています。実力は本物でアイドル的なカリスマ性。そこまでいければ理想的で、その人達が審査員となって次の世代を見ていき繋いでいくこれが理想的ですね。

T そうですね。たださっきも言ったように審査員もだんだん難しくなって行くだろうなと思いますね。既にみんな言ってる事が違うからね。いろんな意味で審査員も成長して行かないといけない。自分のエゴばっかりじゃダメだし、問題はいっぱいありますね。だからみんなでサポートして行かないといけない。みんなやりたい放題は純粋でいいけど、みんなでいい方向に持って行かないといけないというのは感じます。