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ウータン・クランが世界で1枚かぎり、1億円以上の「アート」な新作を極秘制作していた

ニュー・アルバム『A Better Tomorrow』が待たれるニューヨークのベテラン・ラップ集団、ウータン・クラン(Wu-Tang Clan)が、この新作とは別に、極秘で2枚組のアルバムを制作していたことを明かした。しかも、世に出るのは1枚かぎりという、とんでもないプレミア盤になるという。

昨年、デビュー作『Enter The Wu-Tang (36 Chambers)』発売から20周年を迎え、大型フェスなどに出演したほか、新作『A Better Tomorrow』をLoud/RCA Recordsからリリース予定と発表し、ファンを湧かせたウータン・クラン。RZA、ゴーストフェイス(Ghostface Killah)、メソッド・マン(Method Man)、マスター・キラー(Masta Killah)をフィーチャーした新曲“Family Reunion”なども発表されたが、一部メンバーの足並みが揃っていないことが報じられ、レコーディングには時間がかかっている様子。

しかし、その間に『The Wu – Once Upon A Time In Shaolin』という2枚組のアルバムを極秘で制作していたことが明らかになった。モロッコを拠点に活動しているウータン・ファミリーのラッパー/プロデューサーのシルヴァリングズ(Cilvaringz)がメイン・プロデュースを務め、ここ数年でレコーディングされたというこのアルバムは、世界で1枚だけがプレスされ、ロンドン出身のモロッコ系デザイナー、ヤーヤ(Yahya)が3ヵ月をかけて手作りしたニッケルシルバーの美麗なボックスに収納される「アート」作品となるという。世界中のギャラリーや美術館などで展示される予定で、31曲全128分のアルバムの内容は、厳重な警戒の下、展示を訪れることができた幸運なひと握りの人たちのみが耳にすることができる。“アートとしての音楽”を改めて考えさせるきっかけにしてもらいたいのだとか。

展示の終了後は販売も考えられており、1点ものというだけあって数百万ドル(1億円以上)の値が付けられることになりそうだという。一般的なCD発売をしたいメジャー・レーベルが購入することも可能なようだ。ある個人が購入し、後に無料で音源を配信するという展開もあり得る。いつから展示がスタートするかなどの日程はまだ発表されていない。ウータンのリーダーであるRZAは、米経済誌フォーブスのインタビューに対し、「誰もやったことのない形でアルバムを出すよ。(現代の)音楽の歴史において誰もなしえなかったような、アート作品として出すんだ。1点かぎりのコレクターズ・アイテムだよ」とコメント。この「1枚かぎり」という発想は、昨年ジェイ・Z(Jay Z)がSamsungと提携してアルバム『Magna Carta…Holy Grail』をSamsungのスマートフォンに無料で先行配信した一方で、ニプシー・ハッスル(Nipsey Hu$$le)が無料で配信しているミックステープ『Crenshaw』を1枚につき100ドル(およそ9800円)でナンバー入りCDとして有料販売し、それをジェイ・Zが1万ドルぶん、100枚購入したという話にも影響されたのだとか。

なお、この作品は、今夏リリースとされているニュー・アルバム『A Better Tomorrow』とは別物となる。『Better Tomorrow』は発売日はまだ不明なものの公式サイトですでに予約を受け付けており、同サイトやiTunesなどのデジタル配信サイトでリード・シングルとなる新曲“Keep Watch”の発売も始まっている。

元記事 : bmr 配信日時 : 2014年03-27 21:24